豊かな山や森をつくるには

2022年12月10日

豊かな山や森をつくるにはどうしたらいいのかなぁと、ぼんやり考えています。

 

蒜山は標高500メートル前後のいわゆる中山間地域です。ここで農業をしていると周りの環境が気になってきます。川の水をひいて田んぼに入れるし、山からの湧き水を鶏たちは飲んでいます。森を吹き抜ける風が通り、菌や虫たち、動植物たちもたくさんいます。田んぼや畑はそれだけで完結するのではなく、大きな自然環境の一部であるといつも感じます。

 

そうして周りの山を見渡すと、植林された針葉樹林が目立ち、ナラ枯れなのか赤黒く染まった木や台風による倒木、笹が繁茂したり藪化した場所も多く、なんともいえない空気の淀みを感じたりします。今年は鹿や猪もよく田畑に入っていました。

 

6年前広島でお借りしていた家に、明治時代の写真が一枚残っていました。それを見たときに思ったのは、裏山がすごく遠くに見えるなぁということでした。当時はそれだけ人が山に入っていて、今では山が迫ってきているんだと思いました。同じようにこの蒜山も水がきれいで豊かな場所だとは感じるけれど、かつてはぜんぜん違った距離感で山に接していたんだろうと想像できます。昔がすべて素晴らしいとは思わないけど、もっと多くの人の手が入っていたという里山から学ぶこともありそうです。

 

私がいいなと思う姿は、水を豊かに蓄えられて、野の生きものたちが暮らせて(願わくば鹿も猪も少しだけ落ち着いてもらえる)、そんな山や森です。冬には雪が降りつもる地域で、春から秋は農作業に追われる日々で、そもそも自分の山ですらない中で、素人が長い時間をかけてゆっくりとでも関わっていく方法はあるのかな、と。冬になるとそんなことを考えてしまいます。

禾のお餅、販売をはじめました

2022年12月06日

12月2日朝、お昼にはみんな消えてしまうようなサッとした雪が薄く積もって、スノータイヤへの交換は午後にお願いしていたのになぁと思いながら、初雪にはしゃぐ息子がかわいくて、そんな今年もお餅の季節がやってきました。

冬、田畑の作業は落ち着いてきて、会いたい人に会いにいきたい季節でもあります。まずは鳥取・倉吉で「のぎ屋」を営む友人の田村家に連絡をして、今年もお餅をお願いしますと。それからずっと今年の米づくりがどうとか、子育てがどうとか、大きな薪ストーブで温もりながら時間を忘れて過ごします。お餅をつくりたいのか、遊ぶための口実がお餅なのか、そんなことを思ったりもするほど田村家は居心地がよいのです。

さて、お餅です。

今年初めて搗いてもらった白餅はとろりとしたなめらかないい味わいでした。オリーブオイルと醤油をあわせたり、きな粉とあわせたり、もう一袋でも食べられます。茹でたお餅をハサミで小さく切っても息子はなおゴホゴホしていて心配になりました。小さなお子さまには、焼いてお召し上がりいただくか玄米餅がおすすめです。どうかお気をつけください。

昨年も搗いてもらった玄米餅は変わらずによかったです。それまでずーっとお餅といえば白餅だったのに今では、やっぱり玄米餅っていいよね、と。やっぱりをつけたくなる自分がいるから不思議ですね。焼き目がついてもつかなくてもあまり気にせず、醤油をジュッとかけて海苔をまいたらこれもやっぱり一袋食べちゃえます。どうぞみなさまの冬のお供にも。

★お餅のお求めはこちらのオンラインストアから。

 

禾の加工品あれこれ

2022年11月24日

禾の穀物をつかっていろいろな方が加工品をつくってくれています。

何をつかって、どんなものを、誰がつくっていくれているのか、まとめてご紹介します。皆さん素敵な人たちで、つくるものはどれもほんとうにおいしいです。機会があればぜひ召し上がってくださいね。
(長くなってしまうので敬称略です)

 

●米

・ササニシキ・亀の尾(うるち米)|麹・味噌|藤原みそこうじ店(鳥取)
毎年お味噌や麹にしていただいています。

・亀の尾(うるち米)|玄米煎餅|日比谷米菓(東京)
前シーズン、玄米煎餅をつくっていただきました。ほんとうにおいしかったし、禾でも一番人気の商品だったと思います。ただ先日、ぜひ今年もお願いしたいですとご連絡したところ、職人さんから体調を崩してしまったと聞かされました。再開できたらご連絡をいただく予定ですが今後どうなるかわかりません。ご高齢の方なので心配です。回復を心から祈るばかりです。

・こがねもち・太郎兵衛糯(もち米)|玄米餅・白餅|のぎ屋(鳥取)
前回も書いたとおり、昨年もつくってもらった玄米餅に加えて今年は白餅もつくっていただく予定です。我が家でも冬の定番お手軽ごはんです。

 

●豆

・サチユタカ(白大豆)|味噌、豆腐、黄粉||藤原みそこうじ店(鳥取)、小屋束豆腐店(岡山)、サンデールーム(群馬)
一番幅広くつかっていただいているのがこの白大豆です。他にもお味噌づくりのワークショップでたくさんご利用いただいたりもしています。毎年ほんとうにありがたい限りです。大豆の栽培はいろいろな面で難しいのですが、どうにかいい形で続けていけたらいいなと思っています。

・ヤブツルアズキ(小豆)|味噌|藤原みそこうじ店(鳥取)
今年初めての栽培と収穫でした。これからどんな形になっていくのか私も楽しみです。

 

●麦

・小春二条(大麦)|味噌|藤原みそこうじ店(鳥取)
今年初めての栽培と収穫でした。これからどんな形になっていくのか私も楽しみです。この小春二条は他にも、友人と一緒に麦茶をつくる計画も進めています。こちらもどうぞお楽しみに。

・スペルト(古代小麦)
50グラムからはじめて4年間せっせと種を紡いできました。この秋に種を蒔いた分がうまくいけば、来夏それなりの量になって何かにつかってもらえそうです。私もまだ口にしたことがありませんが、誰と一緒にどんなものをつくっていけるのかとても楽しみです。

 

●番外編

・ササニシキ・亀の尾(うるち米)、サチユタカ(白大豆)|はじまりの味噌|藤原みそこうじ店(鳥取)
・ぼくたちは夏に味噌をつくる(冊子)|真鶴出版、鈴木大輔、山田将志(神奈川)
藤原みそこうじ店さん、真鶴出版さんを中心としたチーム真鶴の皆さん、そして私たち禾。この三者で「はじまりの」という取り組みをやっていて、その第一弾がこの「はじまりの味噌」です。禾は原料としてのお米と大豆をつくる担当で、このお味噌にあうものは何かと毎年異なる品種のお米を育てて試しています。それを藤原さんがお味噌にして、真鶴の皆さんが広くお届けするための冊子やパッケージをつくってくれています。もともと本も好きなので、これはとてもとても楽しい活動です。またなにかつくれたいいなと思っています。

 

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こうしてまとめてみるとたくさんありますね。穀物という枠のなかで毎年少しずつ種類や品種を増やしていって、その収穫物を扱ってもらえるつながりも増えていきました。穀物に絞っていたからこそいただいたご相談もあったので、それもうれしかったです。地味だけどすごいですね、穀物!

 

田畑ではいつもひとりなので、そこを離れたとき誰かと一緒にものづくりができるのはすごくうれしいです。加工品はもちろんだし、それ以外でもなにかあったらぜひご一緒できたらいいなと思っています。

 

近藤亮一