
今年のもち米のことを
2022年11月18日
今年はもち米がたくさんあります。昨年に比べて作付面積もグッと増やしたし、ありがたい豊作でした。
今年が特別なのは品種がふたつあることです。昨年も育てていた「こがねもち」、そして「太郎兵衛糯」です。同じもち米といっても、それぞれの個性があります。
まずは「こがねもち」。1943年新潟の試験場で「中新糯40号」として生まれ、その後「こがねもち」と命名されました。稲姿は背丈が短く線は細くスラッとした印象でしたが、秋にはたくさんのお米がたわわに実る稲でした。ねばり、コシなども整っていて純粋においしいなって思うお米でした。
それから「太郎兵衛糯」です。安土桃山時代の慶長年間、いまの埼玉県で会田太郎兵衛さんがいいもち米の選抜に成功したことからはじまるお米です。この時代から品種育成に関する資料が残りはじめていて、育成者のわかる最古のお米とも言われています。稲姿は背が高く太く力強い印象で、秋にはきれいな黒い毛のあるお米が実りました。独特のつよい風味があり糸を引くほどのねばりがありました。
それぞれ異なる美しさやおいしさがあって、田んぼで見ているだけでもうれしいです。ただ育てる品種が増えるといろいろな管理が大変になってしまうので、来年はどちらかひとつに絞ろうと思っています。私たちも春までに食べ比べていきますので、お好みやご意見などあればぜひ教えてください。
それと今年はおもちの種類もふたつです。昨年もご好評いただいた玄米餅に加えて、白餅も搗いていただけることになりました。おもちを搗いてくれるのは鳥取の友人「のぎ屋」さん、いつも本当にありがとう!今年、いい白餅をつくるために新たに設備投資をされていて、玄米餅と白餅でそれぞれにあった餅搗き機をつかうそうです。すごいこだわりです。
そんなわけで、もち米もおもちも、お取り扱いいただける方やお店をたくさんたくさん募集しています。少量からでも承りますのでぜひご相談ください。もち米はいつでもお届けできますし、おもちは12月初旬頃からのお届け予定です。事前にお声がけいただければ、その分も多めに搗くことができるのでいつでもご連絡ください。
冬のお供に禾のおもちをどうぞよろしくお願いします!
近藤亮一

小さな目標に届きました
2022年11月17日
2018年の秋、独立準備をしているときに、行政が定める認定新規就農者の申請をしました。
地域の農協さん、普及指導員さんや先輩農家さんたちに助けていただきながら向こう5年間の営農計画書をつくり、何度かの面談を経て無事に認定されることになりました。その稲作に関して、目標として書いた面積あたりの収穫量に4年目の今年初めて届きました。いま心のなかに静かな達成感が満ちています。
近しい人はみんな知っている話ですが毎年の収穫量はとても厳しいものでした。虫に食べられたり草に覆われたりで細々とした稲、そして病気で赤黒く染まってしまった田んぼをずっと見てきました。稲がたわわに実り黄金色に染まる田んぼ、小さい頃から当たり前のように目にしてきた田んぼの風景は自分にとっては当たり前ではありませんでした。今年はどうだろうと期待を抱いて働く春夏を超えて、現実を突きつけられる収穫の秋は怖い季節でもありました。
これまでのことは肥料を入れないからとか農薬をつかわないからとか、そういう話ではありません。技術も経験も乏しく、純粋に農業者としての自分が至らなかったからです。それでも、実ってくれた少ないお米をおいしく感じたし、食べてくださる方からもうれしい声をいただけました。比喩表現ではなく文字通り田んぼやお客さんたちに支えられて、気持ち的にも経済的にもどうにか続けてこれました。感謝しかありません。いつも本当にありがとうございます。
今年目標に届いたといってもささやかなものです。それに試してみたいことがまだまだたくさんあります。その先の結果はわかりませんが、こんな風に思えること自体がきっと幸せなことなんだろうなと思います。これからも稲と自分にとって心地よい関わりを求めていって、そうしてできたお米で誰かとつながって、自分たちの小さな暮らしを続けていけたらうれしいです。
近藤亮一

禾のウェブサイトができました!
2022年11月17日
はじめまして。近藤温子です。
この度、禾のウェブサイトをオープンしました!!
2019年からスタートした禾。ようやく夫婦ふたりでの形が見えてきて、商品を通してだけではなく、私たちが日々の暮らしの中で田畑や生き物たちとどう関わっているのかを知ってもらえれば、という思いで今年の2月から作成に取りかかりました。
まずは、今回ウェブサイト作成に関わった方々のご紹介を。
藤田和俊さん・里美さん(僕ら、)フォトグラファー、ライター、プランナー @bokura.__ @kazutoshifujita
ご夫婦で、写真撮影や執筆、結婚式のプロデュースをされている、という知人からの情報をもとに、ウェブサイトを作りたいという相談をしてみたら快く引き受けてくださいました。四季折々の自然の風景を取り入れたい、というわがままな要望に根気強く付き合ってくださり、撮影が始まったのは今年2月の雪景色から。しかも、全体のスケジュールや他の方々との調整、補助金のアドバイスまで請け負ってくださりました。最初から最後までこのプロジェクトを支えてくださって、とても感謝です。
三宅航太郎さん(MAA)デザイナー @kotaromiyake @maa_official_
藤田さんにご紹介いただいた、デザイナーの三宅さん。このウェブサイト全体の世界観を、私たちらしく飾らない日常にまとめてくださいました。同じくらいの子どもを持つ親同士ということもあり、最初の打ち合わせのほとんどは子育てトーク!これからも子育ての相談をさせていただきたいです。
小島慎司さん(s-k-works)webデザイナー @shinji.kojima0319
最後の仕上げ作業は、webデザイナーの小島さん。藤田さんの写真と文、三宅さんのデザインを、画面上でかっこよく見えるようにコードを書いてくださいました。どんな作業をしているのか、素人にはさっぱり想像もつかない最後の工程を、締め切りが迫る中、鮮やかに仕上げてくださった方。ちょっとした要望もサクッと反映してくださり、本当に職人技でした。
今まではインスタグラムやオンラインストアを通して、私たちの暮らす風景や作物を自分たちの目線から紹介してきました。今回ウェブサイト構築にあたって、私たち夫婦の作業する姿や子どもとの日常、豊かな自然を客観的に切り取り、素敵な世界に表現していただいたことで、多くの方にもより伝わるものができたように思います。そして、私たち自身もまた新しい視点を得ることができました。関わってくださり、力を貸してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
ここで表現されている世界を通して、禾のことが少しでも伝わりますように。
近藤温子