小さな目標に届きました

2022年11月17日

2018年の秋、独立準備をしているときに、行政が定める認定新規就農者の申請をしました。

地域の農協さん、普及指導員さんや先輩農家さんたちに助けていただきながら向こう5年間の営農計画書をつくり、何度かの面談を経て無事に認定されることになりました。その稲作に関して、目標として書いた面積あたりの収穫量に4年目の今年初めて届きました。いま心のなかに静かな達成感が満ちています。

 

近しい人はみんな知っている話ですが毎年の収穫量はとても厳しいものでした。虫に食べられたり草に覆われたりで細々とした稲、そして病気で赤黒く染まってしまった田んぼをずっと見てきました。稲がたわわに実り黄金色に染まる田んぼ、小さい頃から当たり前のように目にしてきた田んぼの風景は自分にとっては当たり前ではありませんでした。今年はどうだろうと期待を抱いて働く春夏を超えて、現実を突きつけられる収穫の秋は怖い季節でもありました。

 

これまでのことは肥料を入れないからとか農薬をつかわないからとか、そういう話ではありません。技術も経験も乏しく、純粋に農業者としての自分が至らなかったからです。それでも、実ってくれた少ないお米をおいしく感じたし、食べてくださる方からもうれしい声をいただけました。比喩表現ではなく文字通り田んぼやお客さんたちに支えられて、気持ち的にも経済的にもどうにか続けてこれました。感謝しかありません。いつも本当にありがとうございます。

 

今年目標に届いたといってもささやかなものです。それに試してみたいことがまだまだたくさんあります。その先の結果はわかりませんが、こんな風に思えること自体がきっと幸せなことなんだろうなと思います。これからも稲と自分にとって心地よい関わりを求めていって、そうしてできたお米で誰かとつながって、自分たちの小さな暮らしを続けていけたらうれしいです。

 

近藤亮一